火曜日, 1月 13, 2015

僕はなぜ?お米をつくるのだろう?(その6)

2014年11月に3年目の米づくりを終え、2015年1月に4年目の米づくりが「田起こし」から始まった。

2014年(平成26年度)を振り返って
米作り3年目に5反から2町に耕作面積が拡大し、田植機、コンバイン、乾燥機を整えた。2町の水田の約5割が減反の対象になり、6反で飼料米を栽培し、4反で里芋などを栽培した。したがって実際に食用に栽培した水稲は、掛け干し夢つくし1.5反、コンバイン刈り夢つくし4.5反、元気つくし4.5反、そして急に頼まれて植えたにこまる3反の計1町3反に達した。掛け干しとコンバイン刈りを合わせた6反の夢つくしは1月中旬に完売した。この分だと4.5反の元気つくし、3反のにこまるは5月までに売り切れるだろう。
『桜堤委員』
水稲耕作者が順番に委員を受け持つ。桜堤委員は11名で構成される。この中からいわゆる水利組合長が互選で選ばれる。大げさな呼び方をきらって「担当」と自称している。しかし農地の売買などには必ず水利組合長の承認が必要だ。農地転用といって農業以外の目的に農地を使う書類にも水利組合長の認め印が必要だ。
桜堤委員は田植えから稲刈りまでの堤と田への水路の管理運営を行なう。共同で田植え前に配水管やポンプの設置点検を行ない稲刈り後に撤去格納する。この間順番に堤や水路の堰を開け閉めし、水が適切に配分されるよう配慮する。
桜堤からの水路を使って田に水を入れる耕作者は1反あたり2500円の水回し料を支払う。この請求徴収も桜堤委員の役割だ。近くの堤だけで桜堤、森裏堤など4つほどある。田が分散している耕作者は関係する堤の委員が順番に回って来る。僕は桜と森裏から水を引いているので水回し料をそれぞれの堤毎に支払う必要がある。また委員も3年に一度くらいの割合で回って来る。耕作者が僕の所属する集落「高向」には8人しかいないので頻繁に委員が回ってくる。
水回し料の集金に加えて水路工事などの分担金を地権者(地主)から集めるのも委員の役割だ。行政機関から農業用水路の補修については申請によって9割の補助がでる。今年と来年で約2000万円の水路工事が補助対象で行なわれるので200万円を1反3500円の割合で徴収する。田んぼを沢山所有する地権者は1年10万円近い分担金を支払っている。
田んぼの地権者から借りて耕作する際には反あたり5000円の使用料を払う、いわゆる小作料だ。この支払いは穫れた米で納めるのが一般的だったが、行政機関やJAが介在するようになって金銭貸借に誘導されている。相続対策の意味があるようだが耕作者の負担は増える事になる。したがって地権者は田を手放したいと考え、耕作者は手をひきたいと考えるのが実情だ。


4年目の米づくりが「田起こし」から始まった・・・続く)

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木曜日, 1月 01, 2015

僕はなぜ?お米をつくるのだろう?(その5)

2014年の米作りを通していろいろ解ってきた。
田植え直後に除草剤を1回だけ使って雑草の発芽を抑えた。ほとんどのほ場では農薬散布は行なわなかった。
飼料米としてカントリーエレベーターに納入する「つくしほまれ」6反はラジコンヘリコプターで農薬を散布した。元気つくし4.5反には、稲穂が出来始める出穂期に追肥を散布した。
2014年度はじめて飼料米を栽培した。飼料米にちょっと触れておこう。飼料米とは近くの牧場の牛に食べさせるお米だ。冬期干し草がなくなるのを補い、人の食用に作られる米の過剰生産を抑える苦肉の策が飼料米だ。玄米で1反約500キロを納めると約8万円が支払われる。国の補助金を使った生産調整だ。減反がなくなった後に飼料米の生産を奨励することで食用米の生産過剰を抑制する。
2014年産水稲は白米1キロ250円を割り込む安値が報じられている。素性のわからない、味の保証のない米でも安ければ売れるということで流通業者は農家から買いたたいていると聞いている。これに加えて農協も1キロ170円程度で買い入れた玄米を在庫減らしのため安く業者に販売しているようだ。
なぜこんなことになったのだろう?農家のほとんどは、刈り取った籾をそのまま農協(JA)の乾燥貯蔵施設(カントリーエレベーター)に搬入する。乾燥や籾すり、そして販売の手間がかからずに納めただけ買い取ってもらえる。これが農家の美味しい米をつくろうとする意欲を失わせた。米以外の現金収入のある北部九州を例にとれば、いちごや野菜、生花が生産の中心になっている。水稲は代々伝わる田圃や稲作を止めた農家から委託され、量が穫れれば良いという取り組みでしかない。
量を穫るためには肥料を効かせる。しかし肥料を多く使った米の味は落ちる。しかしこれで困る事はないので、毎年収量の上がる栽培法で米を作り続け、米の在庫は増え続ける。
全国各地の農村にカントリーエレベーターという共同乾燥施設がある。山裾で美味しい米が出来る地域と海岸沿いの砂地の地域とで同じカントリーエレベータに納品されると、悪貨は良貨を駆逐してしまう。この地域の米は直販所等で売れない。農家は農協に依存し続けるか、稲作から手を引くかの選択を迫られる。
そんな背景で、高齢を理由に地主に田を返す動きが加速している。返された地主も自分で耕作する設備機材を持たないので、耕作者を探すか田を手放そうとしている。
主食としての美味しい米を地域で消費する体制がとれれば変わって来ると思う。それで僕は米をつくり続けている。
幸い飼料米6反で50万円近い売り上げになった。これから苗代、ヘリコプター防除、肥料、その他の薬剤を差し引き、農業機械の購入価格を考えると、10年近くかからないと設備投資は回収できないだろう。その頃僕は働き続けられるのだろうか?
田植え直後に除草剤を1回だけ使った・・・続く)

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