木曜日, 1月 01, 2015

僕はなぜ?お米をつくるのだろう?(その5)

2014年の米作りを通していろいろ解ってきた。
田植え直後に除草剤を1回だけ使って雑草の発芽を抑えた。ほとんどのほ場では農薬散布は行なわなかった。
飼料米としてカントリーエレベーターに納入する「つくしほまれ」6反はラジコンヘリコプターで農薬を散布した。元気つくし4.5反には、稲穂が出来始める出穂期に追肥を散布した。
2014年度はじめて飼料米を栽培した。飼料米にちょっと触れておこう。飼料米とは近くの牧場の牛に食べさせるお米だ。冬期干し草がなくなるのを補い、人の食用に作られる米の過剰生産を抑える苦肉の策が飼料米だ。玄米で1反約500キロを納めると約8万円が支払われる。国の補助金を使った生産調整だ。減反がなくなった後に飼料米の生産を奨励することで食用米の生産過剰を抑制する。
2014年産水稲は白米1キロ250円を割り込む安値が報じられている。素性のわからない、味の保証のない米でも安ければ売れるということで流通業者は農家から買いたたいていると聞いている。これに加えて農協も1キロ170円程度で買い入れた玄米を在庫減らしのため安く業者に販売しているようだ。
なぜこんなことになったのだろう?農家のほとんどは、刈り取った籾をそのまま農協(JA)の乾燥貯蔵施設(カントリーエレベーター)に搬入する。乾燥や籾すり、そして販売の手間がかからずに納めただけ買い取ってもらえる。これが農家の美味しい米をつくろうとする意欲を失わせた。米以外の現金収入のある北部九州を例にとれば、いちごや野菜、生花が生産の中心になっている。水稲は代々伝わる田圃や稲作を止めた農家から委託され、量が穫れれば良いという取り組みでしかない。
量を穫るためには肥料を効かせる。しかし肥料を多く使った米の味は落ちる。しかしこれで困る事はないので、毎年収量の上がる栽培法で米を作り続け、米の在庫は増え続ける。
全国各地の農村にカントリーエレベーターという共同乾燥施設がある。山裾で美味しい米が出来る地域と海岸沿いの砂地の地域とで同じカントリーエレベータに納品されると、悪貨は良貨を駆逐してしまう。この地域の米は直販所等で売れない。農家は農協に依存し続けるか、稲作から手を引くかの選択を迫られる。
そんな背景で、高齢を理由に地主に田を返す動きが加速している。返された地主も自分で耕作する設備機材を持たないので、耕作者を探すか田を手放そうとしている。
主食としての美味しい米を地域で消費する体制がとれれば変わって来ると思う。それで僕は米をつくり続けている。
幸い飼料米6反で50万円近い売り上げになった。これから苗代、ヘリコプター防除、肥料、その他の薬剤を差し引き、農業機械の購入価格を考えると、10年近くかからないと設備投資は回収できないだろう。その頃僕は働き続けられるのだろうか?
田植え直後に除草剤を1回だけ使った・・・続く)

田野の美味しいお米ショップへ 


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