私は、約15年前に福岡県の博多と小倉の中間にある玄海町の農村に移り住んだ。この集落の「御堂組」をかたった(加わった)。「御堂組」には「さかむかえ」という行事がある事を知った。というよりいきなり当番に組み込まれ、真夜中に車に乗り合わせお札をもらいに行った。正月4日にトリスキの宴会に呼ばれた。
「さかむかえ」は、12月31日の23時過ぎに御堂組の当番(3軒づつ交代)が、約30キロ離れた海の中道海浜公園入り口の「志式神社」で軒数分のお札(1本1000円)をいただく。そのお札を松の内に本当番の家(最近は公民館)で鳥肉のスキヤキで宴会をして配る。宴会の材料と酒は御堂組の軒数で頭割りして負担する。2010年わが家は喪中なので不参加だが、お札1000円と分担金1100円を払った。
なぜ遠く離れた志式神社に参拝するのか?そして「さかむかえ」とは何か?今の御堂組では詳しく知るものはいない。
そこで「さかむかえ」をgoogle検索した。
http://www.ne.jp/asahi/laurisilvae/forest/profile.htm
ぴろりん、うつぼっと夫妻のウェブサイトを見つけた。==============================
http://www.ne.jp/asahi/laurisilvae/forest/sato/yatate.htm
矢立祭祀考(やたてさいしこう)によると以下の通りだ。
(5)酒迎え(さかむかえ)※
地蔵迎えともいい、近隣の北郷村にある宇納間地蔵の鎮防火災の札を迎える祭り。宇納間地蔵は、防火の霊験あらたかということで、近辺のみならず、熊本県、大分県からも、例大祭の参拝者は多い。この防火札は、各家庭に2枚、旧道の交わる場所(辻)に各 1枚貼るのが習わしとなっている。例年、くじ引きで代参者2名を決め、集落全体のお札を入手してもらうのだが、その慰労会と、地蔵への信仰の祭りとして、 この行事がある。集落全員の祭り。
※この記述について、九州ハイランド観光ガイド・インストラクター協会副会長の井澤さん(熊本県在住)から、次のようなメールをいただきました。 「酒迎え」の表記ですが、私も以前はこのように書くと思っていました。「どうかくのか?」と尋ねられ、郷土史家の先生に聞きましたところ、集落の代表者がお参りしてお札をいただいてきたのを、村のはずれ(他の村との境)まで出迎えて労った。だから「さかむかえ」「境迎え」と表記。
矢部の中川さんというおじいさんは『その「さかむきゃ」(私には老人はこう発音したように聞こえました)の飲み方をした小さな原っぱのことを「さかむきゃばる」と呼んでいた』そうです。こちらでの「境迎え」は、阿蘇神社にお参りしてお札をいただいてきたときで、今は公民館で開催。
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矢立祭祀考に示されたように、さかむかえ(酒迎え・境迎え)は鎮防火災の札を迎える祭りである。志式神社も宇納間地蔵と同じように『防火の霊験あらたか』だそうだ。我が『高向』集落は、九州で最も賑わう繁華街「天神」まで車で1時間ほどの地にある。ここに九州各地に古くから伝わる「さかむかえ」が伝えられている事に驚きを新たにした。しかし大晦日に志式神社二出かけ、トリスキの宴会を準備するのが大変なので、少しずつ参加を辞退する家が出始めている。
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