アメリカは外国人に乗っ取られた、オバマを殺せ(現地時間 2009年08月13発 日本時間 08月14日受信)
医療改革に関しての反オバマのキャンペーンは、ある種のキチガイじみたエネルギーと暴力をはらみつつあります。昨年の大統領選のキャンペーン期間にもあったものですが、また盛り返してきています。簡単に言えば、オバマのハワイの出生証明書は偽造されたもので、彼は外国人である。だから彼がアメリカの大統領にはなれない。外国人にアメリカは乗っ取られたのだ、というものです。これを信じている人は、テレビのニュースによればたくさんいるのです。中西部の白人の多い州の調査では、世論調査で40パーセント以上がそう信じていて、同じ州の共和党支持者では70パーセントがそう信じているとのことです。これはなんの根拠もないデマゴーグです。もっとも同じ州での同じ調査での質問で、ハワイがアメリカではないと7パーセントの人が答えたとのことですが。またオバマはナチであり共産主義者であるということです。医療改革は共産主義である、ということです。第二次大戦、冷戦時代の思想ですね。
この反オバマの反医療改革キャンペーンは、草の根運動であると自ら主張していますが、製薬会社・保険会社からお金が運動を組織する会社に大量に流れていて(しばらく前の私のメールでおわかりのように、アメリカの医療はとてつもないお金儲け手段になっているのです)、そこがキャンペーンを組織しているのです。ウソでも何でもいいのです、オバマと医療改革を攻撃すれば。ニュースによれば、そういう運動の指示があるとのことです。もっともテレビニュースで見ると、組織されて叫んでいる人は、それは真剣です。白人至上主義ですね。もっとも黒人の女性もいましたが。
これは私の育ったアメリカとは違う、アメリカを返せ、と泣きながら叫んだりしています。オバマの出生証明書のコピーなるものを振りかざして、これは偽造である、外国人の共産主義者がアメリカを乗っ取ったのだ、と真剣にそう信じているのです。そういうことしか言わない、ラジオ局、テレビ・ニュース局もあるのです。きっとそうなのだと思う。いまのアメリカは、彼女の育ったアメリカ、白人ワーキングクラス、白人中産階級の、冷戦時代の中西部のアメリカとは違うのです。何かが根本的に変わってしまった、と叫んでいるのですが、それには真実味があります。もっともこの叫び声は、繰り返せば製薬会社と保険会社のお金によって運動に組織されているものですが。
オバマの医療改革を殺せ、というスローガンがこれまでもありましたが、今日のニュースだと、オバマを殺せ、になっています。昨日のオバマのタウンホール・ミーティングの外でのデモでは、手にプラカードを持ち、腰に弾丸が装填された拳銃をぶら下げている人までいるのです。オバマのタウンホール・ミーティングがはじまる前に、オバマに危害を加えようと建物に忍びこんで逮捕された白人の男は、ナイフを持っていたそうです。この男の自動車を調べたところ、拳銃とライフル銃が出てきたそうです。
オバマの医療改革だと、老人たちは意図的に殺されるのだ、というようなデマゴーグ・キャンペーンが堂々とパブリックにおこなわれているのです。ペイリンなどの極右がその先頭ですね。しかしここまでくると、この極右の動きが突発的な暴力事件、殺人を起こさなければ、全体的に見て影響力は少ない、ということもあります。つまり共和党は穏健派と極右に分裂していて、若い世代の支持を失っているから、これからさき政権を取れるチャンスは、このみちを進む限りない、ということです。それにしても白人極右が突出して来ているのです。それだけオバマはこれまでのアメリカとは違うバックグランドだということです。
彼は白人アメリカ人とアフリカ人黒人の混血です。(アメリカでは黒人との混血は、つまり「黒人」です。)出身がハワイとアフリカの上、オバマはインドネシアなどの外国での生活から出てきているのです。同時にアメリカ東部のエリートコースを突っ走って来た人間でもあります。黒人、外国、東部知的エリートと、そういう人たちの嫌いなものが三つもそろっているのです。
こういうようなことが大局的にはたいした影響はないとしても、テレビのニュースを見ていると恐ろしくなってきます。興味のある人は、今日の Rechel Maddow のMSNBCのニュースショーを見てください。彼女はレスビアンにてサヨクにてユダヤ人ジャーナリスト。私もNancyも、レイチェルは知的で戦闘的で美しくて、大変ヨロシイ思っています。
http://www.msnbc.msn.com/id/26315908/
(室謙二)
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