水曜日, 4月 14, 2010

小林久志の東京大学大学院入学式での祝辞(最終部分)

  日本人が寄付をしないという事を入学の祝辞の最後に言及している。

最後に、多数ご出席されているご両親の皆さま。将来の日本を担う人材である御子息、御令嬢を立派に育て上げられた努力に対し、心より祝福と敬意の念を表する次第 であります。しかしこの若者たちが再び日本を盛り立てるにはこれからも御両親の励ましと後押しが必要であります。
東大が世界でトップ・クラスの大学と肩を 並べるには、当然ながら、それなりの資金が必要であります。しかしご承知の様に国立大学の独立法人化が進み大学の自主独立性が奨励される一方で、政府から の交付金額が減らされる傾向にあることは、皆さまもご存知の通りです。
東京大学の基金資産は約250億円であります。それに奨学寄付金200億円を加えて も450億円即ち約4.5億ドルであります。これに対しハーバード大学の基金資産は350億ドル、プリンストン大学は158億ドルであります。しかし学生 数は、東大が27,800人であるのに対し、ハーバードは19,100人、プリンストンは7,200人に過ぎません。したがって学生一人当たりの基金資産 はハーバード、プリンストンが共に、大凡200万ドルであるのに対し、東大は、16,000ドル、即ち 160万円に過ぎません。米国一流大学の100分 の1という貧しさです。160万円を上手に運用し年4%のリターンを得たとしても、学生一人当たりに費やせる金額は6万5千円足らずです。
3月30日に放 送されたNHKテレビの番組「クローズ・アップ現代」によりますと、米国のCharitable Organizationsが受ける寄付が年総額22兆円であるのに対し、日本では、7千億円、即ち30分の1であります。しかし4月9日(金)の朝日新 聞に掲載されたNPO法人に対する税制優遇策に関する記事は、「寄付文化が定着している米国では、個人による寄付額が年間で20兆円を超えるが、日本は年 間三千億円に届かぬ。」と報道しています。この数字が正しければ、日本は米国の70分の1以下です。
仮にNHK番組の数字が正しいと、国民一人当たりの寄 付額を計算しますと、アメリカ人が年間7万2千円を寄付するのに対し、我々日本人は、たった5千500円しか寄付をしないという勘定になります。アメリカ 人の、15分の1しか寄付をしていないという事になります。朝日新聞の数字の方が正しいとすると50分の1となります。
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 このスピーチと参照資料のリストを私のブログ http://www.HisashiKobayashi.com に掲載しますので、御覧になって下さい。外国人学生の皆さ んのために、英語訳も載せます。

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